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はじめに

インコ人気のルーツ

セキセイインコこぼれ話

小鳥といえば、文鳥、カナリヤ、セキセイインコ、オカメインコ、小桜インコほかいろいろあるけれど、なんといっても一番人気はセキセイインコだと思う。
身近を見渡しても、セキセイインコを飼っているあるいは飼ったことがある人が殆どというと少し大げさだろうか。
人気者のセキセイインコは、オーストラリア出身で、内陸で大きな群れをなし草の種を求めて草原を飛び回って暮らしている。

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このセキセイインコが世界に広く知られるようになったのは1840年のことだそうだ。
イギリスの鳥類研究家のゴールドが初めてつがいをオーストラリアから持ち帰ったのがきっかけだった。
当時はオーストラリアは未開の地でめずらしい野鳥がたくさんいる、鳥類研究家には宝の国だった。

ゴールドが木立の中を歩いていると、人の声がして立ち止まった。
木々の枝には、何百と鳥かごがぶらさがっていたが、黄緑色の鳥が突然「どこにいっていたの?」と話かけたのだそう。
ゴールドはびっくりしてその場に凍り付いてしまった。
その鳥がセキセイインコだった。

生まれて初めてのセキセイインコとの遭遇にさぞや驚いたであろう姿は想像に難くない。

音声・語学学習に優れたセキセイインコはその後競われるようにオーストラリアから持ち出されるようになったそうだ。
(オーストラリアでバードウォッチングして撮った写真をいくつか使ってますが気が付かれたでしょうか?)

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発情関連の病気

卵詰まり、精巣腫瘍など

メスの繁殖関連の病気

メスでは繁殖に関連した病気が特にセキセイインコや文鳥で多くみられる。
発情の関連した病気には、卵詰まり(あるいは卵材閉塞)、卵管脱、卵材性腹膜炎、腹壁ヘルニアなどがあります。

卵詰まり

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卵管脱
上の写真は、総排泄孔から反転した粘膜をクチバシでつつき出血がひどい状態。下の写真は整復後、総排泄孔を縫合してある。また腹壁ヘルニアを伴っている。

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メスの発情ホルモン(エストロジェン)の影響により、腹部の筋肉が弛緩したり、常に卵巣が発達して慢性的に産卵をします。
この状態が続くと、卵詰まりを起こしたり、カルシウムの貯蔵量が減少して軟卵を産んだり、低カルシウム血症を起こして虚脱することがあります。
さらには腹壁ヘルニア、卵管疾患、卵巣疾患、卵黄性腹膜炎、総排泄腔脱、卵管脱、骨軟化症などの病気が引き起こされます。

外科手術
異常卵や卵材閉塞では、外科的摘出が必要となるケースもあります。
しかしながら、鳥の避妊手術は卵管摘出を実施しますが、卵巣(卵胞)は取り除くことができないため発情自体を抑えることはできません。卵管摘出により、卵白・卵殻を形成することができなくなるため、今後産卵はしなくなります。

卵1.jpg卵管閉塞を生じた異常卵
卵管.jpg摘出したオカメインコの卵管

卵の材料は、肝臓から作られます。発情が持続すれば、肝臓が疲労し、肝機能障害が起こってきます。
さらに肝機能障害が進むと、羽毛の変形や変色、嘴や爪質低下による過長、血液凝固不全による嘴・爪への出血班形成、肺出血による呼吸困難などもみられるようになります。

野生での生活と異なり人工的な光周期の延長が鳥を発情させる原因となったり、手乗りインコでは飼い主への愛情が慢性的な発情となり病気の治療を難しくもしています。

オスの繁殖関連の病気

繁殖に関連したオスの病気といえば精巣腫瘍があげられ、特にセキセイインコに多く見られます。
通常、犬・猫など多くの哺乳類の精巣は、体の外側で睾丸の中に納まっており、体温より低い状態で保たれています。
鳥では、精巣が体外にあったのでは飛ぶ邪魔になるために体の中にあります。体の中で精巣は気嚢(呼吸のため空気を入れる袋)と接しているため、呼吸による空気で冷却されています。

testis.jpg死後解剖で取り出された精巣腫瘍

非発情期では精巣はとても小さくてレントゲンでは認めることは出来ません。しかし、発情期に入ると、精巣の大きさが何十倍~何百倍にも大きくなります。
精巣が腫瘍化して大きくなると、足へと向かう坐骨神経を圧迫することがあり、これによって足に麻痺を生じることがしばしば見られます。

発情が慢性化してしまうと、何百倍と大きく発達した精巣はなかなか冷やされることが難しくなります。
冷やされにくいままに常に細胞分裂を繰り返し精子を作り続けている精巣は腫瘍化しやすくなるのではないかと考えられています。 残念ながら、精巣腫瘍を手術ですべて摘出し完治させることは難しく、現在のところ、症状を緩和するための内科療法が行なわれます。

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発情を予防するには

鳥はいつが発情期?

 野鳥としてオーストラリアで暮らすセキセイインコを例にとると、食事が十分に取れる雨季の時期には繁殖しますが、降雨量が減少する乾期に入ると十分な食事を得られなくなり、この時期には非発情期に入ります。スズメやツバメなどの野鳥にしても、日本の気候では通常春から夏にかけ雛を育て、秋から冬は非発情期になり繁殖行動は見られなくなるのが普通です。

pair-budgerigar.jpgそう考えると、人にペットとして飼われるインコ(特にセキセイインコ!)では年中食事の心配は要らず、季節の影響を受けずいくらでも繁殖できる状態といえるのもうなずけます。発情期にお休みが無いといった状態ではないでしょうか。

 光の周期や温度・湿度、巣やパートナーの存在、食事、ストレスなどが鳥の発情周期に重要な役割を果たしています。発情を予防するには、これらの要因を出来るだけ自然に近い、それも非発情期の条件に近づけることが重要となると考えられます。

対策をしよう!

①秋から冬の光の周期というと、日照時間が短いということになります。夕方の5時か6時くらいには暗くして、寝かせるようにしましょう。このとき大事なことは、家族の声がするところで布だけ掛けても、寝かせたことにはなりません。一度暗くしたらちょっとでも光が入らないこと、静かなところにカゴをおく事がカギとなります。

②温度や湿度に関していうと、春から夏が発情に好都合ということになります。梅雨~夏にかけて温度・湿度が上昇する時期には、涼しくし除湿器等で湿度を下げることや、秋から冬は我慢できる程度には寒さを感じてもらうことも有効な方法となります。

③巣とパートナーの存在は発情の大きな要因です。できるだけ、巣だけでなく巣を連想させるものも置かないこと、パートナーとは別のケージで飼育すること。また、人間が発情の相手の場合は出来るだけスキンシップを抑えてみることも必要です。とはいえ、そもそもが愛情を注ぐために飼っているペットに冷たくすることは辛いことですし、パートナーと引き離されるストレスも大きなものになります。無理しない程度に始めてみてください。

④ストレスというといろいろありますが、野生では外敵や環境ストレスさまざまな影響下で暮らしています。ペットとして暮らすインコではそういった脅威を感じることは少ないですが、たまに連れ出したりと過度にならない程度の刺激やストレスはあっても悪くないと思われます。

⑤それでも難しい場合には、ホルモン剤による内科治療が勧められます。鳥の発情抑制には、黄体ホルモン製剤、抗エストロジェン剤、Gn-RH誘導体を用いる方法があります。
環境による改善が望めない場合には、ご相談ください。

少しでも発情に関連した病気の発症を抑えられるようにするためにも、こうした対策について考えてみてください。


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嘔吐/マクロラブダス感染症

メガバクテリア(マクロラブダス)感染症

ヒトのピロリ菌との関係に似ている?

マクロラブダス.jpg矢印:便中のメガバクテリアメガバクテリアは、グラム陽性の大型桿菌状微生物であり、酵母の一種です。名前の由来の通り、最初は大きな細菌だと考えられていましたが、現在ではカビ(酵母)の仲間に分類されました。感染部位は胃であり、胃粘膜に浸潤し、重度の胃炎や胃拡張を起こ します。
メガバクテリの感染により、慢性胃炎になったり、感染数年後には胃が腫瘍化してしまう症例も見られます。
伝播は水平感染であり、一般的には親鳥が雛鳥に給餌する際に吐き戻した食物の中のメガバクテリアを摂取することによって感染 します。なんだかどこかで聞いたことがあるような、そうまるでヒトのピロリ菌にも似ている病気です。

海外の報告ですが、約400羽の調査では、飼い鳥28.7%、野鳥26.1%にメガバクテリアの感染が見られました。これも海外の報告ですが、コンゴウインコ41.6%、ヨウム33.3%、オカメインコ26.9%、コザクラ・ボタンインコ16.7%、カナリヤ28%、セキセイインコ22.5%で検査結果が陽性でした。*
当院では、ヒナのセキセイインコでの陽性率が高いため、飼い始めにはまず検便にて感染の確認を行うことを勧めています。

どんな症状が出るの?

症状は、嘔吐・吐出のほか、全粒便 (穀粒がすり潰されず未消化な状態のままの便)、軟便や下痢、血便などがみられます。食欲が低下し、餌は殻を剥くだけで、飲み込まないこ ともあります。鳥は嘔吐時、激しく頭を振り、吐出物が頭の毛につきベタベタの状態(スーパーサイヤ人みたいな頭)になっていることもしばしば見られます。
特に、幼鳥では治療が遅れると命にかかわることもあります。

どうやって診断するの?

顕微鏡による糞便検査にて、メガバクテリアの検出を行 います。毎回必ず排出されるとは限らず、1日のうちに排泄されたいくつかの糞便で検査する、あるいは日を改めて数回検査を行なうのがいいでしょう。
また、少量であってもメガバクテリアが検出された場合には、必ず治療を行なうことが重要です。

治療方法は?

抗真菌剤が有効です。症状によっては、胃腸薬(吐き気止め等)、抗生物質なども併用します。 メガバクテリアの排出がなくなったことが確認できるまで比較的長期間の投薬となります。

病気の予後は?

何事も早期発見が大事です。発見が遅れ、胃の障害が大きいと メガバクテリアが糞便中から消失しても症状が治らない事もあります。残念ながら、慢性胃炎から胃腫瘍に発展した症例では、治療は困難です。現時点では、人への感染報告はありません。

*Journal of exotic pet medecine2013,vol22,no2, Clinical update and treatment of selected infections gastrointestinal diseases in avian species 参照

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嘔吐/そ嚢炎New_Icon_rd_01.png

そ嚢検査でそ嚢炎と診断できるの?

そ嚢.jpg矢印部分がそ嚢です。食べ物の貯留、小鳥のためのミルクが作られる鳥もいます。よく耳にするそ嚢炎ですが、小鳥で頻繁に発症する病気なのでしょうか?そ嚢検査をしてください。とよく問い合わせが来ます。

かつて嘔吐の原因はそ嚢炎と思われていたふしがありますが、現在は胃の疾患が原因であることが多いと言われています。実際のところ、細菌性のそ嚢炎という病気は極めてまれとの見解が近年専門病院からだされています。当院でもそ嚢炎と診断を下すケースは殆どありません。
正常な人の口腔内でも真菌であるカンジダ(アルビカンス)が存在していることが知られています。ある研究では、健康なオカメインコの半分にカンジダが見つかっています*。
つまり、そ嚢の中には、もともと細菌や真菌が存在しているということです。
検便で腸内細菌がたくさん確認できることと同じですが、それら菌に病原性があるかどうかまでを顕微鏡で判断することは出来ません。
もちろん、そ嚢の粘膜からはがれた上皮細胞と同時に、炎症細胞、出血等が認められれば疑いは高まりますし、トリコモナス(原虫)が存在する場合も治療の対象になります。

そ嚢検査はいつするの?

・嘔吐などの消化器症状が見られている
・メガバクテリアの感染など明らかな他の原因疾患が認められない
・トリコモナスの感染症に感受性が高い種類の鳥である
・そ嚢の触診、視診で炎症がある等ですが、もう一つ大事な点としては、そ嚢内が食物でパンパンではないことも重要です。

そ嚢検査はいつするの?と、いうと「今でしょ!」と答えたいところですが、
胃カメラの検査に似ていて、ゾンデをつっこむ行為は鳥にとってもストレスなものです。正確な検査にならない場合やすべての鳥にとって必要ということは無いのかなあと思っています。必要な時には、さし餌を控えるなど検査に備えて行うようにします。状態が非常に悪い鳥にもすぐには勧められません。

*Journal of exotic pet medecine2013,vol22,no2, Clinical update and treatment of selected infections gastrointestinal diseases in avian species 参照

他にもよくある病気

副鼻腔炎(上部気道炎)

sinusitis.jpg眼瞼の周りの腫脹、涙目が見られる。上部気道や副鼻腔内に炎症性滲出液(膿汁)が充満し、眼瞼周囲の腫脹や鼻水が見られます。口の中も糸をひいた様なネバネバした状態となり食欲不振、衰弱のため来院することが多いです。オカメインコでは重度の炎症を伴い、口が開かなくなるケースもあり、『ロックジョー』とも呼ばれています。

一般的には、細菌感染やウイルス、真菌などの混合感染が原因といわれていおり、特に幼いオカメインコでよくみられます。治療が遅れると生命にかかわることも多く、早期に病気を発見することが大切です。治療は、抗生剤、抗真菌剤の使用や保温、強制給餌などの支持治療となります。

疥癬

疥癬は、セキセイインコに良く見られる外部寄生虫疾患です。ダニによって皮膚に病気があらわれ、同居鳥にも伝染します。最も良く見られる部位は顔、嘴などですが、足などにも病変を形成します。症状の進行とともに、脱毛や嘴の変形なども見られることがあります。

鳥、疥癬.jpg左:顔・嘴の病変  右上:足の病変 右下:疥癬

外部寄生虫の駆虫薬で治療を行ないますが、細菌感染を合併している時には抗生剤の使用も行ないます。また、変形してしまった嘴は定期的にカットしていく必要が生じることもあります。同居鳥がいる場合には、同時に治療・予防を行なうことをお勧めします。

外傷・骨折

骨折は、落下、ぶつかる、挟まる、踏まれるなどの外傷による原因が殆どです。セキセイインコでは、発情に関連した病気で骨がもろくなり簡単に骨折してしまうケースも見られます。
特に、羽を切って飼育されている方は切ってすぐは鳥自体は飛べるものと思い落下してしまう場合がありますので注意が必要です。

治療は、小型の鳥では折れた骨の中(髄内)にピンを挿入して骨折部分を接ぐ術式(ピンニング)が一般的です。 複雑骨折の場合や大型鳥の場合は、ピンニング法の他に創外固定法(皮膚の外から骨に串刺しのようにピンを打ち固定する方法)を用いることもあります。そのほか、ギブス固定のように手術以外の方法で治療することもあります。

鳥、骨折.jpg左:骨折し腫れて内出血した足 真ん中:斜めに骨折した下腿骨 右:髄内ピンで整復
鳥、骨折2.jpg左:骨折し、腫脹、内出血している足  右:複雑骨折のため創外固定で整復



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